【ウォーブレで学ぶ】総力戦
皆様はヒッタイトという古代文明をご存知でしょうか。人類史上初めて製鉄の技術を手にした文明で、鉄の兵器による軍事力で他を圧倒しました。しかし製鉄の過程で使用する森林資源が続かず自滅します。このヒッタイト、何かと似ていませんか?
そう、ウォーブレですね。双方とも時代を先取りし、結果資源が枯渇してサ終しました。つまりウォーブレの歴史は紀元前1700年に上ると考えて差し支えありません。
ヒッタイトは滅亡しましたが、現在我々の周りには鉄が溢れています。ウォーブレも終わりましたが、再び我々がモルドマルドを手にする日はそう遠くないことでしょう。
というわけで、将来モルドマルドをしっかり使いこなせるよう今日はカードゲームの勉強をします。今回取り扱うテーマは「総力戦」です。
1.総力戦とは?
上の画像はとあるゆっくり実況者の対戦動画の1シーンです。お互いにデッキの残り枚数は5枚以下、オーバーヒートもソウルバーストも無いという、死力を尽くしあっている状況です。このようにお互いが対戦中に使えるリソースのほとんどを消費する試合を「総力戦」と定義します。
リブートフェイズのおかげで終盤に手札が事故する可能性の低いウォーブレでは総力戦は珍しくありませんでした。
またウォーブレに限らずカードゲームでは、稀に総力戦が頻出する環境が訪れます。遊戯王の征竜期、エイラビショップが多かったエボルブ期等がそれに当たります。読者の中でも、お互いの全征竜が尽きるまで長期戦になった経験のある人やエイラのミラーマッチでLO勝負を経験をしたことのある人がいるでしょう。
ウォーブレではメイグルナーフ後のマグナ一強時代が特に総力戦環境でした。訂正全盛期もそうなのかもしれませんが、僕はまだプレイしていない時代なのでわかりません。
総力戦環境になるための条件としては、ミッドレンジ~コントロールのデッキが環境のトップに坐棺していて、且つそのデッキに対応困難な終着点が存在していないことです。例えばシャドバのマナリア環境は、マナリア自体はミッドレンジ程度の速度であるものの、アンの大魔法という対応が簡単ではない終着点が存在するせいで、総力戦環境とはなりませんでした。もしシャドバに「強迫」や「否認」のような簡単な対策カードがあれば、マナリアは総力戦環境になっていたことでしょう。
また総力戦環境の条件で重要なのが、「無限リソースが存在しないこと」です。シャドバのウロボロス等がそれに該当します。
(長期戦が想定されるドラゴンには決め札ではなく無限リソースを与えることでシャドバは総力戦環境を回避しようとしました。このようにヘブンリーイージスを始め、エイラ以降での総力戦の回避は凄まじいものです。これがデジタルを生き抜く秘訣なのかもしれません。)
2.デッキアド
当たり前の話になりますが、デッキのリソースの多くを消費する総力戦ではデッキのリソースの質と量が勝るプレイヤーが有利になります。これは大きな意味をもち「総力戦で有利なプレイヤーは序盤中盤において長期化を狙う選択を取りやすい」という恩恵を得られます。
以下例をあげます。(波線内は読み飛ばしても問題ありません)
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(1)痛い裏目が有り得る場合にライフの詰め切りを狙わず、除去に回れる。
例えばアグタオでありがちな、「聖剣を諦めてライフを削りに行く」といったプレイが必要無くなります。
例えば既にカニテツで盤面をリード出来る状況でも、より刺さる状況まで我慢するといったプレイが可能になります。
(3)後に強くなるカードを「最悪のケースでの生存」を目的に使えるようになる。
例えばソウル5未満のオズワルドや、マグナのソルバレベル2のようなものです。
(4)AOEをケアして戦力の温存ができる。
カードゲームでは、AOEを諦めて最大展開をした方が勝率が高くなることは珍しくありません。特に奇数パラディンはそれが多い最たる例でしょう。
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このように総力戦が有り得る環境では実際に長期戦にならずともデッキアドが重要になることが多いです。しかし、デッキアドを重視しろと言われても総数が40枚で固定されているウォーブレではどう組むべきか分からないと思います。というわけで、次にデッキアドを重視した構築の方法を解説します。
3.盤面へのコスト対効果
こちらのカードはヘルヘイムのUSです。マグナの最強の7コスユニットは誰かという議論で当時バスタンク派とヘルヘイム派に分かれていました。毎日のように熱い議論が交わされ、これをきのこたけのこ戦争になぞらえ、ヘルヘイムバスタンク内乱とよく揶揄されたものです。(嘘です)
さてヘルヘイムとバスタンクですが、カード単体のスペックは圧倒的にヘルヘイムの方が上です。もし実際にヘルヘイムバスタンク内乱があれば僕ですらヘルヘイムに票を入れたことでしょう。しかし、「総力戦においては盤面へのコスト対効果が重要になります」。7コストで自身がファッティというだけに留まるヘルヘイムに比べ強化とガーディアンを備えたバスタンクは、盤面力では分がありました。総力戦を想定する場合は、ハンドのリソースの増強が必須でないなら盤面力を優先しましょう。
4.平均コストを高くする
デッキアドを重視した構築でもう一つ重要になるのが、手札1枚あたりの平均コストを高くすることです。ウォーブレのカードはコストと効果がかけ離れてはなく、
・・・
まあ大体のカードはコストと効果がかけ離れてなく、そのため終盤ではコストをより消費出来たプレイヤーが有利になることが多いです。
そしてコストをより消費するために手札1枚あたりの平均コストを高くすることが必要になるというわけですね。
画像はウォーブレで総力戦環境となっていたメイグルナーフ後に僕が使っていたデッキです。一応ある程度の記録を打ち立てた、信頼して良い構築です。
右下に薄く緑で表示されているマナカーブを見て分かる通り、デッキのカードのコストの総計は136です。
これをデッキの総枚数の40、ではなくキャントリップに近い働きをするイプシロンとラブレターの数を差し引いた34で割ります。すると
136÷34=4
となり、このデッキのカード1枚あたりの平均コストはぴったり4と分かります。
ウォーブレの終盤は毎ターン2枚ドローできるので、引きが偏らなければこの構築は終盤でマックスの8メモリー分の動きが常に可能ということになりますね。
ちなみに以下がデッキにドローカードを含む場合の1枚あたりの平均コストの算出方法です。厳密な式ではないので、あくまで大体の値を調べるのに使いましょう。
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求める平均コストをxとする。
x*( デッキの総枚数 ) = ( 0枚ドローのカードのコストの総計 ) + ( 1枚ドローのカードの枚数 )*( そのカードのコスト+新たに持ってきたカードのコスト )
※2枚ドロー以上のカードがあった場合はさらに式を追加して下さい。
ドロー後に持ってくるカードの平均コストは、ほぼxと置換できるので上の数式は
x*( 40 - 1枚ドローのカードの枚数 )= デッキのカードのコストの総計
となります。
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5.狙い撃ち
先ほどと同じデッキの画像です。このデッキの特徴として大きいのが、バスタンク3枚とキングママ2枚です。アラディアすら抜いてファッティを優先していることが分かると思います。
これは相手のファッティ除去の枯渇を狙ったもので、最初の数枚のファッティは相手に除去されてでも、さらにその後のファッティには生還してもらおうという作戦です。
このように相手の特定要素を執拗に攻めることを狙い撃ちと当ブログでは呼称します。将棋の殺到と同じイメージですね。このデッキはファッティ除去の狙い撃ちをやっていたわけです。
強い戦略に見えるかもしれませんが、最初の数枚はカラスやブラオペでテンポロスを覚悟する必要があります。そういったテンポロスが痛手になりにくい、持久力重視の環境で望まれる戦略です。
また狙い撃ちは特に総力戦で重要となるテクニックであり、用意したデッキの半数以下で戦うような環境では安定しないことが多いです。
【あとがき】
総力戦の解説は以上となります。ウォーブレのない生活がこれからも続きますが、
耐えて下さい。では、また。
【ウォーブレで学ぶ】局所的パワーカード現象
皆さまお久しぶりです。村が滅び、寒さをより一層感じる今年の冬ですが、何をしてお過ごしでしょうか?僕はつい先日ちょっとした用事で未来へ飛んだのですが、そこはウォーブレセカンドの権利をめぐって日夜戦争の絶えないディストピアでした。今日はいずれ来るその時に読者が兵力としてちゃんと機能するよう、カードゲームの勉強をしましょう。
今回のテーマは「ブラフ」です。正確に言うとブラフの中でも特に的を絞った内容の「局所的パワーカード現象」を解説しようと思います。
1.局所的パワーカードとは?
皆さまはこちらのカードを覚えていますか?楽しい・かわいい・悪魔的の三拍子が揃った史実に違わぬ悪女、ダッキです。ダッキは自身がある程度のスタッツを持ちながら、状況次第で異常な強さを発揮できるという特徴を持ちます。このように特定の状況下でパワーカードに変貌するカードを「局所的パワーカード」と定義します。
2.局所的パワーカードがもたらす選択肢
画像の手札で読者の皆様はどういった動きを想定するでしょうか?色々あるとは思いますが、実は見落とされがちな選択肢が一つあります。
「手札の牛鬼をプレイして起動」
というムーブです。これはソウルを無理矢理4にして次ターンのダッキを狙うという意図があります。
一応、画像の状況では相手がシルヴィア、指導者、イプシロンのいずれをプレイした場合でもダッキが刺さる状況にはなりません。そのため今回はダッキの準備は見送りとなりますが、相手の盤面次第では牛鬼起動もあり得ます。
「局所的パワーカードは特異な動きをする選択肢をもたらすことがある」
という点を留意しておいてください。
(本当はもっと良い画像を用意したかったんですが、如何せん過去のゲームなので・・・)
さて、では仮に相手の盤面が次ターンにダッキが刺さりうるものだったとします。この場合牛鬼を起動すると相手はどう感じるでしょうか?動き方が特異なせいで、相手がある程度熟達したプレイヤーであれば、こちらの手札にダッキが存在することを確信します。このように、
「相手にバレやすい」
という点も覚えておいてください。
3.相手にバレやすい点を利用する
さあでは次にこの画像なら皆さまはどうプレイするでしょう?(B1環境です)特に何も考えなければキジモナシレーナで横展開するのが妥当でしょうか。シルヴィアを使うという人もいるでしょう。
しかし実はもう一つ選択肢があります。
「シレーナをプレイ、さらにシレーナを対象にサリ」
という動きです。
一見プレイミスにも見える奇怪な動きですが、奇怪であるがゆえに相手に一つの読み違いを誘うことが出来ます。
「キュアサン又は2枚目のカマイタチに対してオズワルドを出そうとしている」
というものです。
相手がオズワルドを厄介に思い、結果としてキュアサンを渋らせることが出来れば大成功と言えるでしょう。まあ現実のところ、ランクマでは相手がそこまで頭が回るかも分かりませんし、画像の状況ではサリをディスカードする可能性もあるので、シレーナサリは今回は選べないです。(もっといい画像を見つけたかった。)
この例のようなブラフ戦術が可能となっている要因はオズワルドがソウル5を皮切りに大幅に強くなる「局所的パワーカード」であることが上げられます。この現象を一般化すると
「局所的パワーカードがカードプールにあると、そのカードを ”特別” 警戒させる動きが可能になりうる」
となります。当ブログではこれを「局所的パワーカード現象」と呼称します。
一応以下に「局所的パワーカード現象」のチェックポイントを纏めておきます。
・手札又はデッキに無くてもカードプールに存在していれば良い
・相手がある程度熟達している必要がある
・通常以上に相手にケアさせることが出来る、普段考慮しないようなカードも警戒させられる
・手札が事故った際の延命手段としても用いられる
4.意味の無いブラフ
皆さまはこのカードを覚えているでしょうか?僕はA3からウォーブレを始めたので殆ど見かけなかったのですが、A2以前はたまに使われていたと聞きます。勿論のことながら、このゲンドウも「局所的パワーカード」に含まれます。ゲンドウを利用したブラフとしては
「自分が4メモリーのタイミングで敢えて展開や除去をせず、相手のユニットに金貨を使って攻撃力を6にする」
という動きが考えられます。相手の場のアパッチあたりが現実的にありえるでしょうか。いくらゲンドウが採用率の低いカードと言っても、敵ユニットの攻撃力を上げるという特異過ぎる動きに相手はゲンドウが手札にあると読まざるを得ません。
しかしこのブラフ、実は意味を持たないのです。相手はゲンドウがあると読もうと読むまいと、さらに展開をする他ないからです。
「相手の動きが変わらないのであれば、そのブラフは殆ど意味を持たない」
という点も注意しましょう。
ちなみにゲンドウのログイン効果が
ログイン;パワーが6以上のユニット1体を破壊する。破壊した場合、さらに相手ユニット全てに3ダメージを与える。
といった具合に展開抑止も出来るものであったなら、ゲンドウにおいても局所的パワーカード現象を利用できたでしょう。もしゲームを制作する場合は、このように局所的パワーカード現象を発生させられるよう工夫した方が面白味が増すかもしれません。
5.他ゲームにおける局所的パワーカード現象
局所的パワーカード現象は、カードゲーム以外でも目にすることが出来ます。その筆頭が「ポケモン対戦」でしょう。僕がプレイしていたのはブラックホワイト以前までなのですが、
「ラグラージ相手にめざめるパワー草を持っていないサンダースを後出しする」
「珠スターミーを相手にスカーフ持ちでないガブリアスを後出しする」
といった感じの動きが頻出しました。
またこちらも今引退中なのですが、「アルテイルNEO」も局所的パワーカード現象が多かったです。シールドというシステムが上手くこの現象を誘発していたのでしょう。
参考にまで、局所的パワーカード現象は相手依存なため
・自分視点では圧倒的に不利
・相手視点ではまだ確実に有利とは言い切れない
という状況での延命手段や最後っ屁として用いられることが多いという印象です。大会の終盤戦など、相手の実力がある程度保証されている戦いでも利用価値が高いでしょう。
余談なのですが、MTGAを始めようと思っています。このゲームは歴史の長いゲームなので、ブラフが効果的に使えるよう調整されていると勝手に期待しています。まあしばらくは初心者デッキなのですが(笑
【あとがき】
局所的パワーカード現象の解説は以上となります。ブラフはボードゲームの花形なので是非実戦利用してください。
では、ここまで読んでいただき有難うございました。また村民同士でselfishTVが聞けることを切に祈っています。
【ウォーブレで学ぶ】二変数化
皆さまお久しぶりです。ウォーブレセカンドがリリースされてから当ブログを更新する予定だったんですが、無印ウォーブレの一時的な終了からもう数か月です。これはウォーブレセカンドの制作が難航していると予想されるため、今回は場繋ぎのために新しい記事を書こうと思います。
では早速本題に入りましょう。今回扱うのは「二変数化」という、一部ボードゲームで重要となるテクニックです。まず二変数化がどういったものか漠然と捉えていただき、次にウォーブレでは二変数化をどのように扱うかを解説します。ウォーブレでの二変数化の扱い方は多くのTCGで応用が効くので、是非ご一読下さい。
1.二変数化の説明
以下はポーカーをプレイした人がよく経験する状況です。
「相手がオールイン(全額ベット)、乗るべきか反るべきか。」
「自分が先に行動。いくらベットすべきか。」
ありがちな選択肢ですが、前者と後者では決定的な違いがあります。ポーカー未経験の方でも容易に想像できるかとは思いますが、前者は2つに1つ(1か0か)の選択肢で後者は数字を設定する選択肢です。
(注意ですが前者の選択肢は2択である必要はありません。ポーカーがルール上、相手のオールインに対して取れる行動が2つしかないだけで、ボードゲームでの選択肢の多くは3択以上です。)
上記の例で分かる通り、選択肢の性質には二種類あり
「"煩雑な"複数の選択肢から、行動を選ぶもの」
「自分で数値を設定するもの」
という2通りに分類できます。
今回扱う二変数化は「自分で数値を設定する選択肢」で便利なテクニックとなります。例えば先ほど例で取り上げた「どれだけベットするか」では、
「自分の手が強い程、ベット額を高くする」
「相手がアグレッシブな(なかなか降りない)プレイヤーである程、ベット額を高くする」
といった二変数化が頻出します。
2.ウォーブレでの二変数化を使い方
ウォーブレで特に二変数化が役立つのはデッキ構築段階での「カードを何枚採用するか」というタイミングです。
画像のカードを覚えているでしょうか?かなり凶悪なカードだったのですが、関係者曰く、対戦相手と自分の幸福値の合計が一定に保たれるため、問題のないカードとされていたそうです。では例題としてこの「堕天妃の急襲」の採用枚数を考察してみましょう。
まあ答えを勿体ぶる話でもないですね。
「コントロール寄りであるほど、採用枚数を増やしたい」
というのが、急襲の採用枚数の考え方の基本です。具体的にどの程度コントロール寄りなら何枚採用されるかについては当記事では取り扱いません。ここでは「○○であるほど、増やせるor減らせる」というのが二変数化の基盤であると理解してください。
では早速問題を。ここからが、二変数化を効率的にTCGで使うテクニックの紹介となります。
Q:「あなたのマグナデッキ40枚に、さらに好きな枚数だけイプシロンを増やして良い場合、何枚追加投入すべきでしょう(総デッキ枚数は40+追加分となる)」
謎めいた問題ですが、これこそイプシロンの真価を理解するショートカットなのです。いくらイプシロンがパワーカードと言えど、100枚追加してしまうと最弱のデッキに変貌しますし、現実問題10枚はおろか5~6枚の追加でも異様な事故率に悩まされてしまうでしょう。
何故このような現象が起こるのか、と考えた場合にイプシロンの本質である
「1コストのカードや展開出来る2コストのカードと相性が良い」
という点に気づくことが出来ます。
今回の問題のポイントは
「イプシロンを追加投入するほど、デッキの展開系のカードの割合が減り、結果としてイプシロン自身の価値を落とす。」
という点に気づけるかどうかです。ここに気づいた場合、追加の投入枚数は展開系のカードが非常に多い場合で2~3枚、そうでなければ1枚追加するかどうか、という程度の問題だったと分かります。
このような思考実験はデッキ構築において大きな意味を持ちます。今回の問題でも
「1~2コストのカードを減らすなら、セットでイプシロンも減らすべきかもしれない」
「1~2コストのユニットとイプシロンを丸ごと抜けば、新たなデッキに到達出来るかも」
という仮説を立てることができます。
他TCGでも同様に
「もしこのカードが追加可能なら何枚追加するか」(これが二変数の片方、x軸)
「追加枚数が多いためには、どういった要素が必要か」(これが二変数のもう一方、y軸)
を考えてみて下さい。採用枚数の調整や新デッキの考察の一助を担うはずです。
ちなみに僕は他にも
「初期手札がn枚に変更されたなら、○○はm枚採用する」
(ウォーブレの初期手札は3枚。これがもし0枚なら、"均衡の指導者"等のカードの価値が下がる)
(ウォーブレの初期メモリーは0)
といった思考実験をよくします。面倒なので本ブログでは取り扱いませんが、これらもデッキを考える上で結構役に立ちます。
3.二変数化の応用
麻雀では
「○○順目までなら押し、○○順目以降は降り。」
という判断基準がよく使われます。選択肢そのものは、危険牌を引くたびに都度押すか引くか考えるという二者択一なものですが、二変数化を取り入れたことで、より精密な判断が可能となっています。
TCGでも例えば「"拡がりゆく虫害"を使うべきか温存すべきか」という状況ではこの二変数化の応用が使えるかもしれません
取りあえずここでは、二者択一の選択肢では二変数化の応用が可能と覚えておいてください。もしゲームを制作する場合、二変数化の応用が使えるように工夫すれば、良い味を出す可能性があります。
【あとがき】
ここまで読んで頂きありがとう御座いました。二変数化の解説は以上となります。正直、無理してTCGに流用する意義が薄い内容だったため楽しめなかった人も多いかもしれません。しかし、皆無と言っていいブログへのモチベーションから新たな記事が出来上がったことは奇跡です。そしてこの奇跡を生んだのは紛れもなくウォーブレです。次こそはウォーブレセカンドで会いましょう。
【ウォーブレで学ぶ】比較三原則
前回の記事では読みを取り扱いました。ゲーム性の理解や研究には持って来いな内容だったのですが、上達を第一に考えている人にとっては痒い所に手が届かないものだったかもしれません。そのため今回はゲームの上達に直結する「比較」について取り扱おうと思います。ランクマッチで勝率5割前後の人が主な対象となるので、読者によっては前回と比べ楽しめないかもしれませんがご容赦下さい。
前回の読みと同様に「比較」においても、あらゆるゲームで共通しているテクニックが存在します。今回はそのテクニック、即ち「比較三原則」をウォーブレを例に用いながら解説していきます。
【原則1】選択肢を全て取り上げる
上の画像はとあるウォーブレゆっくり実況者の動画の1シーンです。B1環境で申し訳ないのですが、こちらの方が説得力が段違いなのです。(バスタンクはスタッツが4/5、ノポーは1/3です)
さて原則の1つ目、「選択肢を全て取り上げる」を早速実行しましょう。皆さんも面倒だと思いますが、このターンに取りうる動きを3~4パターンほど列挙してみてください。何が正しい行動かを考えたくなりますが、その前にそもそもどんな行動があり得るかを検討します。
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こちらが回答になります。(波線の内側は辛かったら読み飛ばしちゃってください)
①カニテツ→ノポーでガブロンを攻撃→ソウルバーストレベル1→バスタンクでシルヴィアを攻撃→マキ
②カニテツ→ガンヴィートでノポーを強化→ノポーでシルヴィアを攻撃→サリでガブロンを変換→バスタンクでガブロンを攻撃
③ ②の後 ソウルバーストレベル1
④カニテツ→サリでシルヴィアを変換→ノポーでガブロンを攻撃→バスタンクでシルヴィアを攻撃
⑤ ④の後 ソウルバーストレベル1
⑥カニテツ→ノポーでガブロンを攻撃→バスタンクでシルヴィアを攻撃→マキ
⑦サリでバスタンクを変換→バスタンクでシルヴィアを攻撃→ガンヴィートでノポーを強化→マキ→マキ起動→ノポーでガブロンを攻撃→ノポー起動
⑧ ⑦の後 ソウルバーストレベル2
⑨ガンヴィートでノポーを強化→ノポーでガブロンを攻撃→ソウルバーストレベル2→バスタンクでシルヴィアを攻撃→サリでバスタンクを変換→訂正でバスタンクを4/4に戻す→マキ
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じっくり精査してみると、以上9パターンがここでは考えられます。当たり前ですが、これだけ多岐にわたると実戦中に全パターンを把握するのは困難です。僕も実戦中は全ての選択肢の確認はしません。(できません。)
どこで選択肢の確認をしているかと言うとリプレイを見直す際にです。皆さんもリプレイ中に、じっくりと時間をかけて選択肢の確認作業を行ってください。(原則2で選択肢を探すコツも紹介します。)リプレイを見てどんな選択肢があったかを確認する癖を付けるだけでも実戦での思考がスムーズかつ的確なものになります。
先行ゲーやメンコと揶揄されることの多いシャドウバースですが、現在ホットなDTCGでリプレイ機能が常駐されてるのはシャドバだけです。考え方によってはDTCGの中でeスポーツの最先端走っている存在と言えるかもしれませんね。
選択肢を取り上げることが終わったら次にそれらの特徴を把握していく必要があります。原則2でそのコツを解説します。
【原則2】各選択肢の長所を理解する
原則1と同じ画像です。では早速何が長所か見ていきましょう。
では例として②を検討してみます。
②カニテツ→ガンヴィートでノポー強化→ノポーでシルヴィアを攻撃→サリでガブロンを変換→バスタンクでガブロンを攻撃
この動きの利点はソウルバーストを残しながらバスタンクを体力2で生存させていることです。反面、手札に温存させたいサリやガンヴィートをすべて消費してしまうのは欠点です。またマキが置けず盤面の横並びが薄いのも特徴でしょう。
次に③を見ます
②の後にソウルバーストレベル1
②と殆ど同じで、ソウルバーストが残らない代わりにバスタンクが4/5で残ります。当時はキングママの全盛期でもあったので、この選択肢も十分にあり得ました。
もうこの時点で察しがついた方もいると思いますが、この時点で考えることは
1.バスタンクをより大きい状態で生存させたい
2.ソウルバーストを温存したい
3.横に展開したい、出来ればマキを置きたい
4.特にログイン効果が強いサリとガンヴィートは温存したい
以上の4点が考慮するポイントになります。一応以下に選択肢の長所をまとめておきます。
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① バスタンクが体力2で生存。ソウルバースト使用。マキを置ける。ガンヴィートとサリが温存できる。
② バスタンクが体力2で生存。ソウルバーストを温存。マキが置けない。ガンヴィとサリが温存できない。
③ バスタンクが体力5で生存。ソウルバースト使用。マキが置けない。ガンヴィとサリが温存できない。
④ バスタンクが体力1で生存。ソウルバーストを温存。マキが置けない。ガンヴィを温存
⑤ バスタンクが体力4で生存。ソウルバーストを使用。マキが置けない。ガンヴィを温存
⑥ バスタンクが生存しない。ソウルバーストを温存。マキが置ける。ガンヴィとサリが温存できる。
⑦ バスタンクが3/1で生存。ソウルバーストを温存。マキが置ける。ガンヴィとサリが温存できない
⑧ バスタンクが3/4で生存。ソウルバースト使用。マキが置ける。ガンヴィとサリが温存できない
⑨ バスタンクが4/4で生存。ソウルバースト使用。マキが置ける。ガンヴィとサリが温存できない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ざっと見て頂けるとわかると思いますが、どの行動も先ほど挙げた4点の取捨選択に過ぎません。
もう既に察している方が多いかもしれませんが、選択肢を探すコツは「予め選択肢の長所となりえるものを考える」ことです。今回の手札であれば、
・マキを置く中で最良の動き
・サリまたはガンヴィを温存する中で最良の動き
・バスタンクが最も大きく残る動き
といった点から逆算して選択肢を考慮しています。大事なことなのでもう一度言いますが、「長所から逆算すると選択肢が探しやすい」のです。
さらに言うとTCGでは選択肢の長所となりえる要素はほぼ限定されています。
★盤面の強化、または処理
★手札等の温存
★プレイヤーの体力を減らす(または自分の回復)。OTKデッキであればコンボパーツの回収。
(★その他、ソウルの獲得やデッキ破壊など副次的なもの)
上記3点(4点)が全てのTCGにおいて選択肢の長所となりえる要素です。今回の記事の例題は盤面の強化と手札の温存の兼ね合いだったと分かりますね。相手の体力を減らすことも重要視される局面なら、選択肢はさらに多岐にわたってしまうところでした。(バスタンクで相手プレイヤーを攻撃する可能性もあった。)
ここまで読んでいただけると、リプレイを見る際に、各ターンで選択肢を列挙し、その特徴を把握していくことが重要だと分かっていただけたと思います。正直ここまでを実行すれば十分です。最後に自分なりの各ターンの最善手の結論を出せばトッププレイヤーの参入は待ったなしでしょう。一応、次に最善手の結論を出すコツを原則3で紹介します。ほぼ3原則の数合わせです。
【原則3】価値を評価する
同じ画像です。では早速、原則1で取り上げた9つの選択肢の内どれが最善手となるか検討していきましょう。まず各種の長所をより詳しく分析します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ソウルバーストを温存する価値
・ソウルバーストレベル3でドローを狙えるかもしれない。
・オズワルドやカニテツといったソウル参照カードを強く保ちたい
★サリを温存する価値(ガンヴィートは割愛)
・当時採用率が高かったマキやキングママを相手が使って来た場合のカウンターとして有効
・イプシロンをドローした際に強い動きが狙える
・キングママをドローした際に決定打になりえる
★マキを置いておく価値
・ディアマンテへの有効な対策
・バスタンクと並べられると処理が困難
・相手が処理できなかった場合、盤面勝負の決定打になる
★バスタンクの体力の価値
・バスタンク非生存はジャゼロに弱い
・バスタンク体力1は当時採用率が高かったカニテツに弱い
・バスタンク体力2は当時採用率が高かったキングママに弱い
・バスタンク体力3~5は同等の生存率。体力が高い方が仕事の量に期待できる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
改めて長所を分析するとこのようになります。この作業はリプレイを見直す際も特段必要なものではありません。ただし、要所だけは抑えるようにしましょう。
現時点で盤面は相当有利です。TCGでテンポでの有利が取れた場合は、そのテンポを最も維持できる選択肢が正着となることが殆どです。ウォーブレではバスタンクの体力を3~5で残す選択肢がそれに該当するでしょう。
もしテミスの審判のような確定全体除去があれば、マキを手札に温存し再度テンポ有利に立てる選択肢が最有力候補となりますし、ヘブンリーイージスのような無敵カードがあればガンヴィート系の盤面へ影響のあるカードの温存の価値は下がるので、ガンヴィやサリを使ってテンポの維持を図るのが望まれます。環境にどんなカードがあるかが最終的な判断に影響を及ぼすと覚えておいてください。
プレイ当時はバスタンクが体力3以上で生存し、なおかつ盤面勝負の決定打にできるマキ置きの両立ができる⑨を選択しました。
⑨ガンヴィートでノポーを強化→ノポーでガブロンを攻撃→ソウルバーストレベル2→バスタンクでシルヴィアを攻撃→サリでバスタンクを変換→訂正でバスタンクを4/4に戻す→マキ
一応これもメスジャゼロやラブレタージャゼロが裏目となります。展開のリソースを捨てソルバレベル3で手札を補充する権利も捨てたので、全体除去を通してしまうと建て直しが困難でした。とは言ったものの他の選択肢の裏目と比べると微々たるものかなとは思います。
【あとがき】
大事なことなので最後にもう一度言わせてください。
・各ターンで選択肢を纏めること
・選択肢の長所を把握すること
・各長所を評価すること
これらをリプレイで見直す際に行うと根本的な実力の向上につながるだけでなく、実戦で「最良の選択肢を選ぼうとする癖」が付きます。この癖があるかどうかでゲームの実力は大きく変わります、もちろんTCG以外のすべてのゲームにおいてこれは当てはまります。是非身に着けたいところですね。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。最終的に自己啓発本のような内容になってしまったことを後悔しているのですが、リプレイの見直しはゲームの実力向上には欠かせないことだと思うのでこのまま投稿しました。ウォーブレセカンドではリプレイ機能が実装されていることを切に願っております。(セカンド作ってくれるだけでも十分です)
【ウォーブレで学ぶ】不完全情報ゲームでの読みの分類
ウォーブレを始めTCG(トレーディングカードゲーム)は「不確定」であることと「不完全情報」(不完備情報)であることが最大の特徴です。不確定とはプレイヤーの意思とは別に運によって左右されてしまう要素があることを意味し、不完全情報とは相手の手の内が完璧には見えていないゲームのことを指します。詳しく知りたい方は「二人零話有限確定完全情報ゲーム」をキーワードに調べてみてください。相手の手の内が不透明なゲームは非常に多く、TCG以外にも「ポーカー」や「麻雀」、「ポケモン対戦」等様々なものがあり、これらの不完全情報のゲームには共通した読みのテクニックがあります。本ブログでは「読み」を性質ごとに分類し、各性質ごとウォーブレの例を用いながら、他のゲームではどういったものが同じ性質の読みになるのかを解説していきます。内容の都合上多くのゲームを例にあげますが、知らないゲームが例に出ていた場合は無理に理解する必要はありません。最悪ウォーブレ以外のゲームでの例を全て飛ばしたとしても本質的なところは分かるようになっています。
①ミクロな手札読み
上の画像は通常のテンポユニオンとの対戦の一コマで、相手にターンが渡って間もなくのタイミングです。見て分かる通り、相手がブラスクを持っていたら盤面が壊滅する苦境にあるのが分かりますね。この時点でのブラスクの有無はお祈りする他ありませんが、もしこのターンにブラスクを使われなければ以降「手札にブラスクを持っていない」という情報を使うことが出来ます。もちろんTCGではデッキトップから引く可能性は残りますが、それでも後のプレイングに大きな影響が出ます。
このように相手の手の内をピンポイントで把握することがミクロな手札読みです。ミクロな手札読みにおいては読まれる側(今回の例ではユニオン側)が読み手の意表を付くプレイングをするのが困難なのが特徴です。そのため比較的に信ぴょう性が高い情報だといえるでしょう。
他のゲームでミクロな手札読みに当たる行為は
麻雀「19牌の絡む鳴きをしたため、役牌を持っている公算が高い」
麻雀「リーチ者の捨て牌に4ピンがあるため、1ピンが通る公算が高い」
ポケモン「珠スターミーにガブリアスを後出ししたため、スカーフ持ちの公算が高い」
といったものです。いずれの場合も読まれる側が読み手の意表を付くには相当なリスクやコストがあり、信ぴょう性の高い読みであることが確認出来ます。
TCGはデッキトップからドローする可能性がある性質上、読みそのものの信ぴょう性が高くてもある程度の可能性で不本意な結果になります。それゆえ運の傾向が強いということでTCGを好めないという人は少なくないでしょう。反面、イレギュラーを秤にかけて行動を決定できるというのがTCGの魅力とも言えます。
また参考にまで「相手のデッキに○○はない」という読みもミクロな手札読みに含まれます。名づけ親の僕が悪いのですが、ミクロな手札読みの手札という言葉に惑わされないでください。大事なのは相手の手の内をピンポイントで予測できる要素があるという点です。
②マクロな手札読み
上の画像はコンシェドの先行1ターン目です。かなり事故ぎみなため、メディケを使ってドローをしたいという局面です。勿論ここではメディケを使うべきなのですが、1つデメリットがあり「シェド側は手札が重い」という情報を相手に与えてしまいます。
今回のラピス側のように対戦相手の手札を漠然と把握することをマクロな手札読みと分類します。ミクロな手札読みと違って読まれる側(今回の場合はシェド側)が読み手の意表を付くのが容易なのが特徴で、それゆえマクロな手札読みは比較的に信ぴょう性が低いといえるでしょう。
他のゲームでこれに当たる読みは
ポーカー「大きい額のレイズだから相当良い手」
麻雀「親のリーチに危険牌を押したから相当良い手」
といったものです。
僕の感覚ではハースライクのゲームは相手の手札を漠然と捉える意義は薄くなってしまっていると思います。原因としては相手の手札の良し悪しを把握しても自分のプレイに還元できる状況が少ないというのが挙げられるでしょう。もしカードゲームを制作する場合は相手の手札の良し悪しに合わせて違うプレイングを要求するカードを作れば、マクロな手札読みが重視されるゲームとなり一味加わると思います。
③ミクロな展開読み
上の画像はラピスミラーでの1シーンです。自分側の手札を見て皆様はどのように考えるでしょうか?恐らく多くの人が
「このターンはメイミーかラッキー、次ターンはケヤキ、さらにその次はカニテツ」
という動きのプランを考えるのではないでしょうか?
このようにTCGにおいて手札等から数手分の動きを見繕う行為をミクロな展開読みと分類します。また、囲碁将棋において「○○手先を読む」という言葉を聞くことがあると思いますが、こういったものもミクロな展開読みに分類できます。要は数手分のストーリーを頭の中で描く行為のことで、これは僕の知る限り全てのボードゲームで重要な要素です。ミクロな展開読みは基本的に、より遠く、より詳細に、より多岐に渡ってストーリーを描くようにするとプレイングの質を向上させることができます。今回の例でも
「ラピスは4コスのユニットを素出しする可能性が低めの国家で次ターンの相手は小型ユニットを展開する可能性が高い。その展開に獅子王の記憶が絡む可能性も十分に考えられるため、ここでは体力の高いメイミーを出す。次ターンはケヤキで相手の体力3までのユニットなら対処でき、カニテツに十分繋げられそう。さらに次は・・・・」
というように、より深い考察ができるようになりたいですね。
ご察しの方もいるでしょうが、多くのTCGではコストという制度がミクロな展開読みを上手く形成していると言えます。反対に、コストという制度がプレイングに制限をかけすぎミクロな展開読みの要素を希薄にしているとも考えられます。同じハンドからでも多様なストーリーを描けるゲームを目指したいところですね。ウォーブレはこの点に関して他より優れたDTCGだったのではないかと僕は思います。
④マクロな展開読み
上の画像はコンマグvsコンシェドでの1シーンです。僕が4コスト以上のユニットをほとんど採用していなかったため相手の発破が腐っている状況です。アン登場前の画像のため、少し環境が違いますがご容赦ください。ワンゴロウは生物学枠としての採用と思われます。
手札から色々な動き方を考えてしまう局面だと思いますが、その前に1つ重要な読みがあります。それが
「デッキ切れ勝負になった場合に勝つのはシェド。そのため、いずれ攻めていく必要がある」
という読みです。このように直近の数手とは別に、未来の漠然とした読みをマクロな展開読みと分類します。今回の場合では、この読みを活かして
「攻め手が不足しないよう、このアリスはユニットとして使いたい」
という結論に至ることができます。
他のゲームでもマクロな展開読みは抜群に重要で
囲碁「地合いで負けているため、いずれ攻める必要がある」
将棋「駒損をしてしまったため、いずれ攻める必要がある」
麻雀「大きく点数をリードしているので、無理に攻めなくてよい」
スト2「待ちガイルのミラーマッチで、ソニックブームの打ち合いに負けたため、いずれ攻める必要がある。」
といったものがこれに当てはまります。展開読みは総じて不完全情報のゲームに限らず利用できるものだともわかりますね。
⑤行動読み
不完全情報ゲームでは、相手が複数の選択肢を持ち、自分はそのどれか1つにしか対策を打てないという状況は少なくありません。そのような場合に、相手目線の情報を整理したり、相手のプレイングの傾向を分析したりといった方法で、次に相手が選択しそうな行動を予測することはとても大事です。本ブログでは、相手が次にとる行動の予測を行動読みと分類します。ミクロな展開読みと類似した内容ですが、ポーカーやポケモンでは行動読みに限定して読みという単語を使うことが珍しくないので、ミクロな展開読みとは別のものとして扱いました。
ウォーブレでは
「(4~5メモリーで)守護を立てずにマリオンをセット。ベンテンを警戒して相手は顔を殴れなくなるだろう」
といったものが、行動読みを利用したプレイングになります。マグナ使いであれば経験したことがあるのではないでしょうか?僕も何度も利用したことがあり、相手が結局顔を殴ってきて「守護を立てた方がマシだった・・・」となったことも多々あります。行動読みを外すのは多少仕方ないところはありますが、相手の立場になって状況をしっかり見つめたら正しく読めていたかもしれません。
参考にまで、行動読みは奥が深い分野です。詳しく勉強したい方は「ゲーム理論」、「ナッシュ均衡」、「囚人のジレンマ」等をキーワードに調べてみてください。
⑥相手が行う読みの把握(補足)
⑤では相手の目線に立って考えることが重要だと書きましたが、これは他①~④にも当てはまります。上の画像はウイルスユニオンのミラーマッチです。
勿論この手札では、メモリークロロクロロと動くべきなのですが、メモリーギャラクシーと比べて1つ見落とされがちなデメリットがあります。それは相手に
「デッキタイプ的にブラスクは採用されていない」
と読ませてしまうことです。ブラスクを警戒して手札を温存してもらえることが多いユニオンにとってこれは少し痛手でしょう。
今回の例では、メモリギャラクシーをしても次ターンにクロロを出す可能性が高い点、また相手がテトラを持っていた場合に一方的に処理されてしまう点から、メモリークロロクロロが妥当ですが、違う局面ではその限りでないかもしれません。
ちなみに例で取り扱ったのは「相手が行うミクロな手札読み」の把握です。他にもTCGでよくある「相手のプレイから察するに○○を持っている」といったミクロな手札読みのほとんどは「相手が行うミクロな展開読み」を把握したところから辿り着いたものだったりします。
例:
体力3か4のユニットしか並んでいないのにキュアサンを打たれた→手札にもう一枚キュアサンがある。
手札が十分にあるテンポユニオンが5コストでパスした→6コストでソルバウィット
手札が十分にあるラピスが6コストでパス又は凄く弱い動き→7コストでアサギリオルト
【あとがき】
読みの分類は上記のもので全てとなります。例え違うゲームでも、本質的なところで同種の読みが多々あるということを当ブログではお伝えしました。性質ごとに読みを意識することで、他の沢山のゲームでも多くの発見が出来るでしょうし、また純粋にプレイングスキルも一気に上達すると思います。ゲームの制作側に回った場合にも、どの要素が欠如ぎみか、どの要素が長所かを理解しておくと大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。
では村の皆様、ここまで読んでいただき有難うございます。これからも村民のゲームライフがより華やかになることを祈っています。