【ウォーブレで学ぶ】総力戦
皆様はヒッタイトという古代文明をご存知でしょうか。人類史上初めて製鉄の技術を手にした文明で、鉄の兵器による軍事力で他を圧倒しました。しかし製鉄の過程で使用する森林資源が続かず自滅します。このヒッタイト、何かと似ていませんか?
そう、ウォーブレですね。双方とも時代を先取りし、結果資源が枯渇してサ終しました。つまりウォーブレの歴史は紀元前1700年に上ると考えて差し支えありません。
ヒッタイトは滅亡しましたが、現在我々の周りには鉄が溢れています。ウォーブレも終わりましたが、再び我々がモルドマルドを手にする日はそう遠くないことでしょう。
というわけで、将来モルドマルドをしっかり使いこなせるよう今日はカードゲームの勉強をします。今回取り扱うテーマは「総力戦」です。
1.総力戦とは?
上の画像はとあるゆっくり実況者の対戦動画の1シーンです。お互いにデッキの残り枚数は5枚以下、オーバーヒートもソウルバーストも無いという、死力を尽くしあっている状況です。このようにお互いが対戦中に使えるリソースのほとんどを消費する試合を「総力戦」と定義します。
リブートフェイズのおかげで終盤に手札が事故する可能性の低いウォーブレでは総力戦は珍しくありませんでした。
またウォーブレに限らずカードゲームでは、稀に総力戦が頻出する環境が訪れます。遊戯王の征竜期、エイラビショップが多かったエボルブ期等がそれに当たります。読者の中でも、お互いの全征竜が尽きるまで長期戦になった経験のある人やエイラのミラーマッチでLO勝負を経験をしたことのある人がいるでしょう。
ウォーブレではメイグルナーフ後のマグナ一強時代が特に総力戦環境でした。訂正全盛期もそうなのかもしれませんが、僕はまだプレイしていない時代なのでわかりません。
総力戦環境になるための条件としては、ミッドレンジ~コントロールのデッキが環境のトップに坐棺していて、且つそのデッキに対応困難な終着点が存在していないことです。例えばシャドバのマナリア環境は、マナリア自体はミッドレンジ程度の速度であるものの、アンの大魔法という対応が簡単ではない終着点が存在するせいで、総力戦環境とはなりませんでした。もしシャドバに「強迫」や「否認」のような簡単な対策カードがあれば、マナリアは総力戦環境になっていたことでしょう。
また総力戦環境の条件で重要なのが、「無限リソースが存在しないこと」です。シャドバのウロボロス等がそれに該当します。
(長期戦が想定されるドラゴンには決め札ではなく無限リソースを与えることでシャドバは総力戦環境を回避しようとしました。このようにヘブンリーイージスを始め、エイラ以降での総力戦の回避は凄まじいものです。これがデジタルを生き抜く秘訣なのかもしれません。)
2.デッキアド
当たり前の話になりますが、デッキのリソースの多くを消費する総力戦ではデッキのリソースの質と量が勝るプレイヤーが有利になります。これは大きな意味をもち「総力戦で有利なプレイヤーは序盤中盤において長期化を狙う選択を取りやすい」という恩恵を得られます。
以下例をあげます。(波線内は読み飛ばしても問題ありません)
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(1)痛い裏目が有り得る場合にライフの詰め切りを狙わず、除去に回れる。
例えばアグタオでありがちな、「聖剣を諦めてライフを削りに行く」といったプレイが必要無くなります。
例えば既にカニテツで盤面をリード出来る状況でも、より刺さる状況まで我慢するといったプレイが可能になります。
(3)後に強くなるカードを「最悪のケースでの生存」を目的に使えるようになる。
例えばソウル5未満のオズワルドや、マグナのソルバレベル2のようなものです。
(4)AOEをケアして戦力の温存ができる。
カードゲームでは、AOEを諦めて最大展開をした方が勝率が高くなることは珍しくありません。特に奇数パラディンはそれが多い最たる例でしょう。
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このように総力戦が有り得る環境では実際に長期戦にならずともデッキアドが重要になることが多いです。しかし、デッキアドを重視しろと言われても総数が40枚で固定されているウォーブレではどう組むべきか分からないと思います。というわけで、次にデッキアドを重視した構築の方法を解説します。
3.盤面へのコスト対効果
こちらのカードはヘルヘイムのUSです。マグナの最強の7コスユニットは誰かという議論で当時バスタンク派とヘルヘイム派に分かれていました。毎日のように熱い議論が交わされ、これをきのこたけのこ戦争になぞらえ、ヘルヘイムバスタンク内乱とよく揶揄されたものです。(嘘です)
さてヘルヘイムとバスタンクですが、カード単体のスペックは圧倒的にヘルヘイムの方が上です。もし実際にヘルヘイムバスタンク内乱があれば僕ですらヘルヘイムに票を入れたことでしょう。しかし、「総力戦においては盤面へのコスト対効果が重要になります」。7コストで自身がファッティというだけに留まるヘルヘイムに比べ強化とガーディアンを備えたバスタンクは、盤面力では分がありました。総力戦を想定する場合は、ハンドのリソースの増強が必須でないなら盤面力を優先しましょう。
4.平均コストを高くする
デッキアドを重視した構築でもう一つ重要になるのが、手札1枚あたりの平均コストを高くすることです。ウォーブレのカードはコストと効果がかけ離れてはなく、
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まあ大体のカードはコストと効果がかけ離れてなく、そのため終盤ではコストをより消費出来たプレイヤーが有利になることが多いです。
そしてコストをより消費するために手札1枚あたりの平均コストを高くすることが必要になるというわけですね。
画像はウォーブレで総力戦環境となっていたメイグルナーフ後に僕が使っていたデッキです。一応ある程度の記録を打ち立てた、信頼して良い構築です。
右下に薄く緑で表示されているマナカーブを見て分かる通り、デッキのカードのコストの総計は136です。
これをデッキの総枚数の40、ではなくキャントリップに近い働きをするイプシロンとラブレターの数を差し引いた34で割ります。すると
136÷34=4
となり、このデッキのカード1枚あたりの平均コストはぴったり4と分かります。
ウォーブレの終盤は毎ターン2枚ドローできるので、引きが偏らなければこの構築は終盤でマックスの8メモリー分の動きが常に可能ということになりますね。
ちなみに以下がデッキにドローカードを含む場合の1枚あたりの平均コストの算出方法です。厳密な式ではないので、あくまで大体の値を調べるのに使いましょう。
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求める平均コストをxとする。
x*( デッキの総枚数 ) = ( 0枚ドローのカードのコストの総計 ) + ( 1枚ドローのカードの枚数 )*( そのカードのコスト+新たに持ってきたカードのコスト )
※2枚ドロー以上のカードがあった場合はさらに式を追加して下さい。
ドロー後に持ってくるカードの平均コストは、ほぼxと置換できるので上の数式は
x*( 40 - 1枚ドローのカードの枚数 )= デッキのカードのコストの総計
となります。
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5.狙い撃ち
先ほどと同じデッキの画像です。このデッキの特徴として大きいのが、バスタンク3枚とキングママ2枚です。アラディアすら抜いてファッティを優先していることが分かると思います。
これは相手のファッティ除去の枯渇を狙ったもので、最初の数枚のファッティは相手に除去されてでも、さらにその後のファッティには生還してもらおうという作戦です。
このように相手の特定要素を執拗に攻めることを狙い撃ちと当ブログでは呼称します。将棋の殺到と同じイメージですね。このデッキはファッティ除去の狙い撃ちをやっていたわけです。
強い戦略に見えるかもしれませんが、最初の数枚はカラスやブラオペでテンポロスを覚悟する必要があります。そういったテンポロスが痛手になりにくい、持久力重視の環境で望まれる戦略です。
また狙い撃ちは特に総力戦で重要となるテクニックであり、用意したデッキの半数以下で戦うような環境では安定しないことが多いです。
【あとがき】
総力戦の解説は以上となります。ウォーブレのない生活がこれからも続きますが、
耐えて下さい。では、また。