【ウォーブレで学ぶ】不完全情報ゲームでの読みの分類
ウォーブレを始めTCG(トレーディングカードゲーム)は「不確定」であることと「不完全情報」(不完備情報)であることが最大の特徴です。不確定とはプレイヤーの意思とは別に運によって左右されてしまう要素があることを意味し、不完全情報とは相手の手の内が完璧には見えていないゲームのことを指します。詳しく知りたい方は「二人零話有限確定完全情報ゲーム」をキーワードに調べてみてください。相手の手の内が不透明なゲームは非常に多く、TCG以外にも「ポーカー」や「麻雀」、「ポケモン対戦」等様々なものがあり、これらの不完全情報のゲームには共通した読みのテクニックがあります。本ブログでは「読み」を性質ごとに分類し、各性質ごとウォーブレの例を用いながら、他のゲームではどういったものが同じ性質の読みになるのかを解説していきます。内容の都合上多くのゲームを例にあげますが、知らないゲームが例に出ていた場合は無理に理解する必要はありません。最悪ウォーブレ以外のゲームでの例を全て飛ばしたとしても本質的なところは分かるようになっています。
①ミクロな手札読み
上の画像は通常のテンポユニオンとの対戦の一コマで、相手にターンが渡って間もなくのタイミングです。見て分かる通り、相手がブラスクを持っていたら盤面が壊滅する苦境にあるのが分かりますね。この時点でのブラスクの有無はお祈りする他ありませんが、もしこのターンにブラスクを使われなければ以降「手札にブラスクを持っていない」という情報を使うことが出来ます。もちろんTCGではデッキトップから引く可能性は残りますが、それでも後のプレイングに大きな影響が出ます。
このように相手の手の内をピンポイントで把握することがミクロな手札読みです。ミクロな手札読みにおいては読まれる側(今回の例ではユニオン側)が読み手の意表を付くプレイングをするのが困難なのが特徴です。そのため比較的に信ぴょう性が高い情報だといえるでしょう。
他のゲームでミクロな手札読みに当たる行為は
麻雀「19牌の絡む鳴きをしたため、役牌を持っている公算が高い」
麻雀「リーチ者の捨て牌に4ピンがあるため、1ピンが通る公算が高い」
ポケモン「珠スターミーにガブリアスを後出ししたため、スカーフ持ちの公算が高い」
といったものです。いずれの場合も読まれる側が読み手の意表を付くには相当なリスクやコストがあり、信ぴょう性の高い読みであることが確認出来ます。
TCGはデッキトップからドローする可能性がある性質上、読みそのものの信ぴょう性が高くてもある程度の可能性で不本意な結果になります。それゆえ運の傾向が強いということでTCGを好めないという人は少なくないでしょう。反面、イレギュラーを秤にかけて行動を決定できるというのがTCGの魅力とも言えます。
また参考にまで「相手のデッキに○○はない」という読みもミクロな手札読みに含まれます。名づけ親の僕が悪いのですが、ミクロな手札読みの手札という言葉に惑わされないでください。大事なのは相手の手の内をピンポイントで予測できる要素があるという点です。
②マクロな手札読み
上の画像はコンシェドの先行1ターン目です。かなり事故ぎみなため、メディケを使ってドローをしたいという局面です。勿論ここではメディケを使うべきなのですが、1つデメリットがあり「シェド側は手札が重い」という情報を相手に与えてしまいます。
今回のラピス側のように対戦相手の手札を漠然と把握することをマクロな手札読みと分類します。ミクロな手札読みと違って読まれる側(今回の場合はシェド側)が読み手の意表を付くのが容易なのが特徴で、それゆえマクロな手札読みは比較的に信ぴょう性が低いといえるでしょう。
他のゲームでこれに当たる読みは
ポーカー「大きい額のレイズだから相当良い手」
麻雀「親のリーチに危険牌を押したから相当良い手」
といったものです。
僕の感覚ではハースライクのゲームは相手の手札を漠然と捉える意義は薄くなってしまっていると思います。原因としては相手の手札の良し悪しを把握しても自分のプレイに還元できる状況が少ないというのが挙げられるでしょう。もしカードゲームを制作する場合は相手の手札の良し悪しに合わせて違うプレイングを要求するカードを作れば、マクロな手札読みが重視されるゲームとなり一味加わると思います。
③ミクロな展開読み
上の画像はラピスミラーでの1シーンです。自分側の手札を見て皆様はどのように考えるでしょうか?恐らく多くの人が
「このターンはメイミーかラッキー、次ターンはケヤキ、さらにその次はカニテツ」
という動きのプランを考えるのではないでしょうか?
このようにTCGにおいて手札等から数手分の動きを見繕う行為をミクロな展開読みと分類します。また、囲碁将棋において「○○手先を読む」という言葉を聞くことがあると思いますが、こういったものもミクロな展開読みに分類できます。要は数手分のストーリーを頭の中で描く行為のことで、これは僕の知る限り全てのボードゲームで重要な要素です。ミクロな展開読みは基本的に、より遠く、より詳細に、より多岐に渡ってストーリーを描くようにするとプレイングの質を向上させることができます。今回の例でも
「ラピスは4コスのユニットを素出しする可能性が低めの国家で次ターンの相手は小型ユニットを展開する可能性が高い。その展開に獅子王の記憶が絡む可能性も十分に考えられるため、ここでは体力の高いメイミーを出す。次ターンはケヤキで相手の体力3までのユニットなら対処でき、カニテツに十分繋げられそう。さらに次は・・・・」
というように、より深い考察ができるようになりたいですね。
ご察しの方もいるでしょうが、多くのTCGではコストという制度がミクロな展開読みを上手く形成していると言えます。反対に、コストという制度がプレイングに制限をかけすぎミクロな展開読みの要素を希薄にしているとも考えられます。同じハンドからでも多様なストーリーを描けるゲームを目指したいところですね。ウォーブレはこの点に関して他より優れたDTCGだったのではないかと僕は思います。
④マクロな展開読み
上の画像はコンマグvsコンシェドでの1シーンです。僕が4コスト以上のユニットをほとんど採用していなかったため相手の発破が腐っている状況です。アン登場前の画像のため、少し環境が違いますがご容赦ください。ワンゴロウは生物学枠としての採用と思われます。
手札から色々な動き方を考えてしまう局面だと思いますが、その前に1つ重要な読みがあります。それが
「デッキ切れ勝負になった場合に勝つのはシェド。そのため、いずれ攻めていく必要がある」
という読みです。このように直近の数手とは別に、未来の漠然とした読みをマクロな展開読みと分類します。今回の場合では、この読みを活かして
「攻め手が不足しないよう、このアリスはユニットとして使いたい」
という結論に至ることができます。
他のゲームでもマクロな展開読みは抜群に重要で
囲碁「地合いで負けているため、いずれ攻める必要がある」
将棋「駒損をしてしまったため、いずれ攻める必要がある」
麻雀「大きく点数をリードしているので、無理に攻めなくてよい」
スト2「待ちガイルのミラーマッチで、ソニックブームの打ち合いに負けたため、いずれ攻める必要がある。」
といったものがこれに当てはまります。展開読みは総じて不完全情報のゲームに限らず利用できるものだともわかりますね。
⑤行動読み
不完全情報ゲームでは、相手が複数の選択肢を持ち、自分はそのどれか1つにしか対策を打てないという状況は少なくありません。そのような場合に、相手目線の情報を整理したり、相手のプレイングの傾向を分析したりといった方法で、次に相手が選択しそうな行動を予測することはとても大事です。本ブログでは、相手が次にとる行動の予測を行動読みと分類します。ミクロな展開読みと類似した内容ですが、ポーカーやポケモンでは行動読みに限定して読みという単語を使うことが珍しくないので、ミクロな展開読みとは別のものとして扱いました。
ウォーブレでは
「(4~5メモリーで)守護を立てずにマリオンをセット。ベンテンを警戒して相手は顔を殴れなくなるだろう」
といったものが、行動読みを利用したプレイングになります。マグナ使いであれば経験したことがあるのではないでしょうか?僕も何度も利用したことがあり、相手が結局顔を殴ってきて「守護を立てた方がマシだった・・・」となったことも多々あります。行動読みを外すのは多少仕方ないところはありますが、相手の立場になって状況をしっかり見つめたら正しく読めていたかもしれません。
参考にまで、行動読みは奥が深い分野です。詳しく勉強したい方は「ゲーム理論」、「ナッシュ均衡」、「囚人のジレンマ」等をキーワードに調べてみてください。
⑥相手が行う読みの把握(補足)
⑤では相手の目線に立って考えることが重要だと書きましたが、これは他①~④にも当てはまります。上の画像はウイルスユニオンのミラーマッチです。
勿論この手札では、メモリークロロクロロと動くべきなのですが、メモリーギャラクシーと比べて1つ見落とされがちなデメリットがあります。それは相手に
「デッキタイプ的にブラスクは採用されていない」
と読ませてしまうことです。ブラスクを警戒して手札を温存してもらえることが多いユニオンにとってこれは少し痛手でしょう。
今回の例では、メモリギャラクシーをしても次ターンにクロロを出す可能性が高い点、また相手がテトラを持っていた場合に一方的に処理されてしまう点から、メモリークロロクロロが妥当ですが、違う局面ではその限りでないかもしれません。
ちなみに例で取り扱ったのは「相手が行うミクロな手札読み」の把握です。他にもTCGでよくある「相手のプレイから察するに○○を持っている」といったミクロな手札読みのほとんどは「相手が行うミクロな展開読み」を把握したところから辿り着いたものだったりします。
例:
体力3か4のユニットしか並んでいないのにキュアサンを打たれた→手札にもう一枚キュアサンがある。
手札が十分にあるテンポユニオンが5コストでパスした→6コストでソルバウィット
手札が十分にあるラピスが6コストでパス又は凄く弱い動き→7コストでアサギリオルト
【あとがき】
読みの分類は上記のもので全てとなります。例え違うゲームでも、本質的なところで同種の読みが多々あるということを当ブログではお伝えしました。性質ごとに読みを意識することで、他の沢山のゲームでも多くの発見が出来るでしょうし、また純粋にプレイングスキルも一気に上達すると思います。ゲームの制作側に回った場合にも、どの要素が欠如ぎみか、どの要素が長所かを理解しておくと大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。
では村の皆様、ここまで読んでいただき有難うございます。これからも村民のゲームライフがより華やかになることを祈っています。